風の道アートDiary

人生後半、描きたいものを、心より

映画の中のアート

映画「盗まれたカラヴァッジョ」を観る

友人とイタリア映画「盗まれたカラヴァッジョ」を観に行きました。
1969年10月に盗難の憂き目に遭ったカラヴァッジョの油彩「キリスト降誕」、この絵はは現在も所在がわからず、事件は未解決のまま、真相も謎とされています。
今回の映画はこの事件をもとにしたサスペンスで、カラヴァッジョの絵にまつわる設定ではありますが、美術の色合いはあまり濃くありませんでした。
原題は「Una storia senza nome」。直訳すると「名前のない物語」となり、日本語の題は少し飛躍しています。
海外作品のタイトル邦訳については、こういうことはままあることで、比べてみて、まったく原題からかけ離れているものも少なくありません。
原題を読んで、それでしか通じないような微妙なニュアンスがあったりもします。時には逆に原題よりも邦題の方が、よりその内容にふさわしいと思うこともあります。
中国映画の「初恋の来た道」(邦題)などは、原題を凌ぐ名訳だと思います。

映画は想像どおりのイタリア的、軽快でコミカルな会話によって、テンポよく話が進み、飽きる間もなくすぐ終盤がやってきます。サスペンスというよりヒューマンドラマと言った感じでした。
字幕解説では、「キリスト降誕」のその後の消息として、
・かなり良い状態で現存する
・既に朽ち果てて存在しない
・豚に食べられた
等、諸説あると書かれていました。
が、果たして豚が画布を食べるだろうか?カドミウムやコバルト、水銀などの絵の具に含まれる無機物質は、人間以外でも体に良い訳はないだろうと、一人突っ込みを入れつつ、練り絵の具の場合はコーティングされているので大丈夫かもしれないと、結論付けしたりしました。

シアターの危機

今日はサービスデイで、チケットは千円。観客は20人程で、席を前後左右一席以上空けて座り、全員マスクを着用していました。
私はうっかりマスクを忘れていて、映画館へ入る前にドラッグストアーでマスクを買ったのですが、最近は外出時にマスクを忘れることが多くなってきました。ウイズコロナの生活も、長引くうちに恐怖が恒常化し、気の緩みが出てきています。
映画は久しぶりだったし、イタリア語をシャワーを浴びるように聞けて、楽しめた2時間でした。
今回行ったシネマクレールは、私は年に1,2回しか行くことがないのですが、コロナ禍の影響か、クラウドファンディングの広告が出ていました。塚本晋平さんなど地元ゆかりの映画監督の方達の応援メッセージも掲載されていました。地元民に愛される希少な映画館であり、私にとっても近隣では観たい映画の観られる唯一のミニシアターです。なんとか存続して欲しいと願う次第です。

映画の後は友人と夕食をして家に帰ると22時過ぎになり、今日は描けませんでした。