風の道アートDiary

人生後半、描きたいものを、心より

グレーと緑をまとめるグレージング

鐘楼を描く

お寺にある釣鐘のことを、私は屋根のある構造物を含めて「鐘つき堂」と呼んでいました。正しくは「梵鐘」ぼんしょうですね。
※  鐘つき堂=鐘楼、釣鐘=梵鐘 

習作①

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<24×30> kfsスケッチブック
細かい描写は抜きにして、グレーと緑を色の塊として配置する練習。実景に従って描くと茶系が目立ち、3色がまとまりなく分散しているような気もする。

この鐘つき堂から見下ろす港の風景は、昔から私のお気に入りでした。12月の初め、治りかけた捻挫の足を気にしながら、久々に、ここへ上がってみると、眼下の通りは、なまこ壁の土蔵や古い建物の大半が消え、屋並みの間に空き地がポツポツ。
予想はしていたけど、なんか悲しい。
残っている古い家にも、人の住んでいる気配はありません。現在の生活様式では、住まうには難ありだろうし、補修するとなれば多額の費用がかかるだろうなと思いながら、子供の頃遊んだ路地ををうろつきました。

習作②

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<23×30> kfsスケッチブック
同じ構図で、2枚目。
緑の範囲をより単純に広げ、全体の色を統一するためにグレージングしてみた。

グレージング

油彩では”おつゆかけ”とも言っていたが、私はこの技法が結構好きなのです。油彩では特に一枚の膜が下の色を劇的に変えることもあり、ダメだと烙印を押す前にこれをやってみるべきだと思っていました。
水彩では今回が初めての試みで、下地の色が溶け出すのではないかと懸念はあったものの、どうにかそれなりにできました。筆運びを思い切りよく、一度塗った部分を触らない事が鉄則です。私はわかっていても触ってしまいます。

そうして、まとまりができて喜んだのも束の間、今こうして見るとあちこち怪しい箇所が見えてきて気分は⤵️です。

💡  やるべき課題は多く、問題はいくらでも出てくるだろうから、一つにこだわらず先に進むことにしよう。

今年〜来年にかけてグランマ・モーゼス展が開催されていますね。
展覧会に足を運ぶには遠くて、画集でしか観られず残念です。
モーゼスの絵は、気取りがなくて爽やかで、見ていて楽しくなります。緑と白の色使いが美しく、特に緑のバリエーションの豊富なこと!
本人も好きな色を聞かれたとき、自分のエプロンの端を手に取って、そこにある緑をあげていたそうです。

本来、美しい自然の色であるはずのこの色は、私には少々、厄介な色でもあります。私が描くと大抵は、厚ぼったく淀んだ暗い緑か、蛍光がかった明るい緑か、もしくは生気のない中間の緑になってしまう。

難しいけれど風景を描くために無くてはならない大切な色。この緑を攻略できないものかと、地味に混色練習を繰り返しています。

習作① <23×22> kfsスケッチブック

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手元にある昔の画像(モンサンミッシェルに向かう途中、バスの車窓から見たロワール地方の草原)をもとに描いています。訪れたのが5月で、水量の多い川と、緑豊かな大地を見たとき、やはりフランスは農業国なんだなと改めて思ったものでした。

実景は濃い緑でも、練習のため赤や黄を混ぜて様々な緑で描く。
が、やっぱり冴えないーーぜんぜん様々じゃないーートホホ。

習作② <25×34> ホワイトワトソン紙

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やり直しました。

ーーー。

いつも思うのだけれど、雑でも1枚目の方が好ましいのは、どう云う訳か?
やり直すことの意味がないでは無いか。
それでも、作業した分だけ経験値は上がるだろうから、無駄では無い、と思いたいです。

冬来る

混色によるグレー作りを続けています。
この色が似合う季節になり、一年がまた滑り落ちるように過ぎていったかと、焦りにも似た後悔が胸をよぎる anziana です。(anziana=高齢者。年寄りと書くには抵抗があるので💦)
こんな時は、自分にこう言い聞かせる。
Dovresti guardare il bicchiere mezzo pieno e non mezzo vuoto.
「コップに水が半分しか入ってないって見るんじゃなくて、半分も入っていると見なきゃだめだぞ。」 
残り時間は三分の一近くある、って具合に! 


蒜山の着雪 <34×24>

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紙:kfsスケッチブック、絵具:ウインザーニュートン

蒜山を土地の人は「ひるぜん」と濁って発音するそうです。一般的には「ひるせん」かなと思いますが。
蒜山の南は中国山地、北は蒜山連峰に囲まれて、古代には一大淡水湖だったという。麓には草原が広がり、昭和の頃からジャージー牛の酪農が盛んです。”ジンギスカン”というラム肉を使った焼き肉料理が名物で、ヨーグルトもコクがあって美味です。

できるなら、実際の山を見ながら描きたいものですが、瀬戸内の海沿いにはこのような山らしい山が無く、山岳地帯へ行くとすれば最も近いのがこの蒜山、もしくはその先の大山になります。
いつか、その機会を作ろうと思いつつ、今は雑誌を参考にアレンジして描いています。

箒とはりみとハタキ

物入れに仕舞ってある掃除道具をアートな目線で眺める。

ミニマリストでもないし、断捨離もしない、けれど我が家はモノが少ないです。
ここ十年来は旧態然の暮らしで、家電も家具も、使用に耐えられれば、古いものを買い替えることがない上、欲しいと思っても、しばらく考えているうちに物欲が削がれて、買わずに終わる。そして、万一、壊れた場合でも、そのモノがない状態でやっていければ買わずに済ませてしまいます。

そんな私が、迂闊に買ってほとんど使わず、物入れの中で記念物化しているのが、この”三種の掃除道具”です。

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箒・はりみ・ハタキ

無垢材のフローリング床に優しいからという理由で、掃除機の代わりに棕櫚箒を使おうと思い立ち、揃えました。
9玉長柄箒・3玉荒神箒・はりみ(ちりとり)の3点セットで2万円くらいだったか。ハタキはペンダント照明の掃除用に別途購入です。
半年くらいは活躍しました。実際、自然塗装の無垢の床は、これで箒がけするとシュロの油分が天然のワックスとなって、表面に艶が出る気がします。静かに掃けばあまり埃も舞い上がらず、騒音が無いのも良いです。

床に優しく、電気代もかからず、慎ましい気分にもなれるこの道具、
何故に使わなくなったかというとーー。

  • 腰痛
  • ラグを敷いた
  • 他の用途で掃除機が必要になった

これらが重なり、マキタのコードレスクリーナーを買ったから。
箒がけは、中腰にかがむ姿勢を取ることもあり、長引くと腰にきました。
ラグは、箒では掃きにくいです。というより、ゴミが毛足に入り込み取りづらいです。
そして吸引しなくてはならないゴミも、やはりあるものです。

併用するつもりでしたが、気付けばコードレスクリーナーしか使っていません。
自然暮しへの憧憬か、ちょっとした省エネか、自分では衝動買いしたという認識はないけれど、結果的にそうなってしまいました。
ハタキはたまに使いますが、静電気が起きるためか、ほつれた布の繊維がペンダント灯に付着するので、使い勝手はさほど良いとも思えないです。

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これら三種の掃除道具、捨てるには忍びなく、たまには不用の買い物もあるということで、こうして見えないところに飾ってあります。

物入れの戸を開けるたび目に入るこのモノたち、独特の存在感を醸し出して、和道具の美を感じさせてくれます。実用的な価値は低かったけれど、アート好きな暮らしの隅には、こんな隠れオブジェ(?)もあって良いんじゃないかと思うのです。

ねずみ色

水彩絵具の混色で、もっとも多種多様に作られるのが、グレー・灰色ではないでしょうか。呼び名がグレー、灰色、ねずみ色とありますが、どれも同じと考えて良いと思います。
日本語では、この色のわずかな違いを様々に表現していますね。
殊にねずみには多くの呼び名がありーー薄鼠・白鼠・銀鼠・利休鼠・藍鼠・紺鼠・丼(どぶ)鼠ーーなどなど。この日本人ならではの、色に対する繊細な感性は誇りに思うところです。
これまでグレーには頓着せずにいましたが、侮るなかれ、この中間色を上手く使うことで、主役の色が引き立つのだと、今頃になって認識しました。
目下、チューブ絵の具と水を溶いて、冷たくそして暖かいグレーの世界に浸っています。


ねずみ色・習作 <F3 ・モンバルキャンソン紙>

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雑誌で見た”月下美人”をアレンジして描きました。実物は見たことがありません。
真夏の夜、人知れぬ間にひっそりと咲くらしい。
花の中心から伸びる長いめしべや、奔放に広がるガクの形に惹かれます。


朝の窓

朝起きると一番に、カーテンを開いて窓の外を見ます。見えるのは小さな庭とそれに続く隣家の裏庭と建物です。取り立てて変哲もない光景が、毎日そこにあるのを見ているだけですが、それでも不思議と飽きることがありません。

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今日も窓を開け、東からの光を眩しく受けて、風があるかどうか確かめ、庭の様子をぐるりと眺め、清々しい気分で一日を始められました。
この朝の瞬間が好きです。

その日の終わりに、時間を無駄に過ごしてしまったと感じることが多くとも、この時点では何かできそうな気がして、日々、繰り返します。

かく言う私の生活習慣は夜型で、幾度も修正しようとしましたが、どうにも抜け切れず、今も早起きは苦手です。

単純なパレット

11月に入って、スケッチや作品としての絵は描いていませんが、むしろそれより大切な、水彩絵具の色と混色について考えています。今まで、木々を描くと、緑が汚いことに気付いていたし、暗い影を描くときに濁った感じになるのが気になっていました。
遅かれ早かれこれらの疑問に向き合わなければ、同じことの繰り返しでしょう。

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今後のために、いままで省いてきてしまった色の基本を、今一度、学び直そうと思います。

パレットに必要な色を絞り込む

まず顔料の成分を知らなくては、のところから。
顔料の性質や配合は、絵の具のパッケージから、あるいは技法書を頼りに確かめます。正確に覚えようとしても、これがなかなか頭に入りません。大まかに理解し、後は実際に使って覚えることにします。

実際に取りかかったのは、自分が使うべき色を選別し、その色で構成する”自分のパレット”作りです。これなら楽しい作業で、苦もなく進められるから。

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3原色から純粋な色を主体に、最低限の本数にすると、
赤4・青3・黄2・オレンジ1・緑2の、計12色という結果になりました。
これにもう1色、赤系を加える予定です。その1本をすぐにでも入手して、パレットを完成させたいけれど、チューブ絵の具1本だけを通販で買うと、送料の方が高くついてしまうので、次の買い物の時まで待たなければなりません。

さて、これら12色に置き換わったパレットはなんともスッキリ。
この赤・青・黄の3原色を混ぜて、緑、茶、紫そしてグレーや黒色まで作るのです。
今まで24色以上を並べていたのは、何だったのか?
見境もなく買ったペインズグレー、サップグリーン、プルシアンブルー他たくさんのチューブはいつ出番があるのやら、勿体無いことになりました。

一見、単純なパレットですが、混色はその配分比や組み合わせで幾通りもあり、自分の欲しい色を思いどおりに作れるようになるには、相当の経験が要りそうです。
これは先が長いけど楽しみだぞー。

先だって買ったスケッチブックstillman & birn 。
勿体なくも、こわごわ使っています。厚みのあるホワイトの細目で、滲みができ易いですがなかなか良いです。

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当分はこんなことを続けますが、すべて習得するまで描けないというものでもなく、並行して作品も描きたいと思っています。

冬の夕空 

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15分間のスケッチ(2020年12月)

まったくのメモ描き。なのに捨てられない。

空を見て過ごす日

老体には打撃だったけど 、足を捻挫したことで家時間が増え、暮らし周りの気になっていた諸々を考え直すには良い機会になりました。

太極拳は今月いっぱい休み、スケッチ会は当分の間見合わせることにし、無理な動きは避け、心身ケア重点生活にシフトです。


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諸々の案件といっても、他の人から見れば取るに足らないものだと思いますが、
かかりつけの歯科と眼科のこと、パート仕事、NISAのロールオーバー投資信託のリバランス、庭づくり等々。

 

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放置したアスパラ(食用)

それでも一番気になるのは、やはり水彩画のことで、自分の思う方向に行っていないのではないか?という迷いです。
スケッチに行っても、講座を受講しても、順応できず焦るばかり。
おぼろげながら描きたいもののイメージはありますが、それに近づくための具体策が見つかりません。



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家事の他は、ぼんやり空を見ていることの多い日々。
こんな日があってこそ、身体も気持ちも本来の方向へリセットされると思うから、これで良いのだと楽観しています。


鉛筆画 (1997年)

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カラスウリに似ていますが葉が少し違うようで、何なのかわかりません。
それでも秋の果実、この時期に描いたものです。
今はこんな細密なのは、目が疲れて描けそうにないです。