箒とはりみとハタキ
物入れに仕舞ってある掃除道具をアートな目線で眺める。
ミニマリストでもないし、断捨離もしない、けれど我が家はモノが少ないです。
ここ十年来は旧態然の暮らしで、家電も家具も、使用に耐えられれば、古いものを買い替えることがない上、欲しいと思っても、しばらく考えているうちに物欲が削がれて、買わずに終わる。そして、万一、壊れた場合でも、そのモノがない状態でやっていければ買わずに済ませてしまいます。
そんな私が、迂闊に買ってほとんど使わず、物入れの中で記念物化しているのが、この”三種の掃除道具”です。
箒・はりみ・ハタキ
無垢材のフローリング床に優しいからという理由で、掃除機の代わりに棕櫚箒を使おうと思い立ち、揃えました。
9玉長柄箒・3玉荒神箒・はりみ(ちりとり)の3点セットで2万円くらいだったか。ハタキはペンダント照明の掃除用に別途購入です。
半年くらいは活躍しました。実際、自然塗装の無垢の床は、これで箒がけするとシュロの油分が天然のワックスとなって、表面に艶が出る気がします。静かに掃けばあまり埃も舞い上がらず、騒音が無いのも良いです。
床に優しく、電気代もかからず、慎ましい気分にもなれるこの道具、
何故に使わなくなったかというとーー。
- 腰痛
- ラグを敷いた
- 他の用途で掃除機が必要になった
これらが重なり、マキタのコードレスクリーナーを買ったから。
箒がけは、中腰にかがむ姿勢を取ることもあり、長引くと腰にきました。
ラグは、箒では掃きにくいです。というより、ゴミが毛足に入り込み取りづらいです。
そして吸引しなくてはならないゴミも、やはりあるものです。
併用するつもりでしたが、気付けばコードレスクリーナーしか使っていません。
自然暮しへの憧憬か、ちょっとした省エネか、自分では衝動買いしたという認識はないけれど、結果的にそうなってしまいました。
ハタキはたまに使いますが、静電気が起きるためか、ほつれた布の繊維がペンダント灯に付着するので、使い勝手はさほど良いとも思えないです。
これら三種の掃除道具、捨てるには忍びなく、たまには不用の買い物もあるということで、こうして見えないところに飾ってあります。
物入れの戸を開けるたび目に入るこのモノたち、独特の存在感を醸し出して、和道具の美を感じさせてくれます。実用的な価値は低かったけれど、アート好きな暮らしの隅には、こんな隠れオブジェ(?)もあって良いんじゃないかと思うのです。