風の道アートDiary

人生後半、描きたいものを、心より

ビスクドール

ビスクドール (顔と手足が磁器製の人形)

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 紙:モンバルキャンソンF3
絵具:文房堂
所要時間:3時間

題材の人形の大きさは、座った状態で、縦25・横幅20cmくらい。
実物の服の刺繍と首周りのレースは渋い金色です。レース部分の金色をどうやって現せばよいのか? 結局は赤の上に黄色を重ねたのですが、どう見ても金色には見えませんね。

今日は3ヶ月に一度の、歯のメンテナンスの日。

歯科検診。異常はなかったが、余分な話をしているうちに、歯茎に皮(医師はそう言っていたが、歯肉のこと?)の移植を施す手術を提案された。10年前にインプラントを入れる際、下顎に骨の移植手術をしたことが一度あるが、忘れもしない、あれは術後が痛くて大変だった。今回もその箇所の補強。できれ回避したいが、今のうちならできることも、先では難しくなるだろうということで、手術することにした。
毎晩30分以上かけて、ずっと歯のケアを怠りなくやっているのも、あの痛い思いを無駄にしないためだったのに、又ですよ⤵️⤵️ 
でも、10年も経てばどこかに支障が出ることもあるだろう。仕方ない。
終わるまで、なるべく考えないようにしよう。

ベアト・アンジェリコの翼あるもの

絵画にまつわる小説の紹介です

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今日はアントニオ・タブッキの短編、”ベアト・アンジェリコの翼あるもの”を読みました。
いつ読んでも心洗われる思いがし、これを読むと下手でも自分なりに描きたいものを描けば良い、と素直に思うことができます。

ページ数にして18Pくらい、20分もあれば読める短編で、口語の部分が特に素朴で良い。以下この短編のあらすじです。(括弧内は本文より抜粋)

最初の翼あるものがやって来たのは、六月終わりのある木曜日、すべての修道士が勤めのために礼拝堂にいた、夕べの祈祷の時刻だった。

 
僧ジョバンニがある日の夕刻、畑仕事をしていると誰かが彼を呼びます。しかし彼の目は、今しがた取り入れた玉葱のせいで涙にくもり、その得体の知れない生き物が何なのか良く見えない。まつ毛が乾くようにと目をすがめ、その”翼あるもの”を見上げます。それは梨の木にひっかかっていました。
 

見たところ柔らかそうな、薔薇色の小さな生き物であった。羽をむしられ骨だけになった鶏みたいに黄ばんだ小さな腕をして、肢は肢でまた痩せほそり関節が突き出し、指は七面鳥のそれみたいに胼胝(タコ)だらけだった。顔立ちは年老いた子供のようでいながら滑すべで、両の目は黒く大きく、髪の毛がわりに白い産毛が生えていた。

 
翼あるものにジョバンニは尋ねます。「僕を呼んだのはきみかい」すると、翼あるものは否定し、ジョバンニの方を肢で指し示す。「僕を呼んだのはぼくだって?」

翼あるものは、ジョバンニの分身なのかもしれません。
「ぼくがきみのことを解るのは、ぼくがきみのことを解るからに尽きるようだ。」と、彼自身、断定します。
その夜、もう2つのよるべなき生き物が仲間を探して、ほかの空間からやって来ます。
それらの生き物たちが、上昇に持ちこたえるだけの力を回復する間、修道院で庇護するのですが。その夜、眠りについたジョバンニに翼あるものは言います。

「明日はぼくらを描かなくてはいけないよ、わざわざそのためにやって来たのだから。」

 
ジョバンニは修道院の僧房の壁に、二つの生き物たちを描き、最後に、初めに飛来した翼あるものを、良い眺望を備えた広い場所、すなわち二階の廊下の壁を選んで描きます。
 

「薔薇色の寛衣できみを覆ってあげよう。きみの身体はあまりに醜いからね。聖処女を描くのは明日にしよう。今日の午後いっぱい辛抱してくれたまえ。そうしたらきみたちはふたたび旅立つことができるから・・・いまつくっているのは、<受胎告知>なのです。

物語は、名画の完成を予告しながら、ここで終わります。


「神に祝福された天使」という名のベアト・アンジェリコ。この短編では、その画家の清らかな絵は、修道院の淡々とした日常の、玉葱の取り入れや、スープを作ることと何ら変わり無い仕事の中から生まれています。
事実は定かではないにしても、さもありなんと思える部分が多く、キリスト教徒でなくとも、敬虔で穏やかな気持ちになれますから、絵を描いていて雑念の多い時にはお薦めしたい一冊です。

檸檬

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先日ちぎったレモンです。枝ぶりを考えずに切ってしまい、配置に苦労しました。いい形に置けないまま妥協して描き出したせいか、今ひとつ手応えなし。ゴミ箱に入りかけた絵です。が、なんとかならないかと、しつこく2時間近く手を入れ続けました。
根気負けして終了した後は、これが自分の現状なんだと冷静に受け止め、問題点を考えます。

  1. 背景をどうすればよいのか?
    今は、思いついた色でウォッシュの練習をかねて、ただ漠然と塗っているだけ。
    その題材に相応しい処理をするべき。事前に考えをまとめておく。
  2. 日中の光の変化に惑わされて、焦ってしまう。影がマチマチになっている。
    静物を描くなら、光源を一定に保つこと。
  3. レモンの肌の質感が出せない。

時間が足りないこともあって、レモンの皮や枝葉は手付かずのまま。しかし、これ以上は気分的に厳しいです。良くない絵をいくら触っても、大方はうまくいかない。最善は、”新しく描き直す” でしょう。
思い通りに描けない日は、疲労感も増します。果物は食べる方に精をだして、描くことは少し日を置いてみます。

栗の木

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山の畑へレモンを取りに行って栗の木をデッサン。

家から車で10分、山というより丘といった方が良いか、海の見える長閑な場所に果樹畑があります。畑はどんぐりの落ち葉が絨毯のように積もって、その上を歩くとふかふかと気持ちいい。枯葉の下にはもう萌黄色の草芽がのぞいていて、季節は春に向かっていることを感じます。
レモンの木は成長が早く、苗木から6年ほどで3メートルくらいの大きな木になり、実もたくさん。少しずつちぎって持ち帰り、絞り汁に蜂蜜を加えてホットレモンでいただきます。

帰り際、栗の木が目に止まり、15分ほどデッサンする。昨日は暖かかったけれど、じっと立っているうち風が冷たくなってきたので着彩前で終了。デジカメで写真を撮って帰りました。今年から出かける際には、鉛筆、デジカメを持っていくことにしています。気になる風景に会った時、メモしておけるように。
家に帰って、写真を参考に着彩したのが、上の絵です。背景の空のウォッシュがうまくいかず、なんだかなあ、こんなはずではない絵になった。リベンジしたい気分です。

ハレの日は心をリフレッシュをしてくれる

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初孫の百日祝いデッサン 2011年頃

ここ4、5日は温暖なこの地方も 最低気温 が マイナス4℃、最高気温も2℃の日があり、その冷たさに震え上がっています。

昨日は5人目の孫の1才の誕生日。内輪でささやかな祝いの席を設けました。

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一升餅は背負って立つことができ、

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選び取りは電卓にまっしぐら。

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小さな孫を囲んで皆、暫しの間、昔に返って笑い過ごしました。
コロナ禍の中、閉塞的な生活を続けざるを得ない状況で、人と話して笑う機会は減っています。待ち遠しかった孫たちの帰省も外出はいっさいせず、家の中で遊ばせただけですが、明るい声が響いて、私には一服の清涼剤となったひとコマです。
家族みんなに感謝。また明日から頑張ります。

夕陽に染まる金柑

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紙:モンバルキャンソン・F3
絵の具:文房堂
所要時間:2時間

 三脚イーゼルが意外にも使えそうなこと

ネットで注文していたイーゼルが年末、届きました。
ホルベイン・水平イーゼル3段式WL-63”です。
高さと傾きの調節ができ、重さ0・98gと非常に軽い。
戸外スケッチ用にあった方が良いかと思い購入しましたが、組み立てて試しに使ったところ、室内でも十二分に役立つことがわかりました。

机上に紙を水平に置いて描く場合は、遠近が取りにくいですが、これならば目線のズレが少なく、時々、後ろに下がっての確認ができます。かつ、作品に水や絵の具ををこぼしたり、散らしたりという心配もない。途中で止めるときもそのままの状態で置いておけます。
そして一番良かったのは、北向きの寒い絵画専用部屋から、居間のポカポカと暖かい中に描く場所を移せること。このイーゼルは軽いので持ち回る事が苦になりません。今まで寒い部屋に入るのを躊躇し、絵を始める気になれないでグズグズしていたのが、さっと絵を描こうという気になれることです。
これは私にとって冬場の救世主であります。このイーゼルが加わったことで、より多くの時間、絵に向かえるならば一石二鳥という、怠け者にとっては嬉しい買い物でした。

デンドロビューム

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紙:モンバルキャンソン F3
絵の具:文房堂(ヴァイオレット・サップグリーン・ウルトラマリン・クリムソンR
    ウインザーニュートン(ウインザーレモン)
所要時間:2時間

小型の鉢に咲くデンドロビュームです。
本物はピンクがかっているのに、ピンク系の絵の具がない。仕方なく紫で描きました。メアリーさんの本にはキナクリドンローズを推奨しているので、それが欲しいのですが、ネットで探しても見つかりません。先日画材を注文した時に、キナクリドンレッドがあったので、試してみようかと思いつつ、節約家の私、買いそびれてしまいました。持っている絵の具を使いこなす!と、息巻いてみたものの、どう混ぜてもピンク色をつくるのは無理のようです。

一期一会

クリスマスイヴの今夜は太極拳のクラスに行っていました。指導してくださっていた先生が、今日で辞められることになり、最後に48式剣を披露してくださいました。私はまだ始めて一年ほどなので詳しいことはわかりませんが、ビシッと筋の通った背中や、静けさのある動きが好きで、お手本にさせてもらっていました。もっとこの先生に教わりたかったと、残念でなりません。

一期一会の人生、人との繋がりを大切にしなければと思います。